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福岡高等裁判所 昭和43年(ラ)151号 決定

抗告人 草野薫(仮名) 外一名

右法定代理人親権者父 岩田博(仮名)

主文

原決定を取り消す。

抗告人らはその父岩田博の氏を称することを許可する。

理由

抗告人らは、「原決定を取り消す。抗告人らはその父岩田博の氏を称することを許可する。」との裁判を求めた。その抗告理由は、別紙のとおりである。

婚姻外子の氏の父の氏への変更は、婚姻外子の福祉を重視して決定することが原則であり、父の妻の感情等は必ずしも顧慮する必要はないものと解するのが相当である。

これを本件について見ると、抗告人らは父岩田博から認知されているだけでなく、その親権者も父と定められており、かつ抗告人らは父に引取られ現にその養育を受けていることが認められるので、抗告人らの氏を父の氏に変更することは、抗告人らの福祉にそうものというべきである。したがつて、原審が婚姻外子の福祉よりも父の妻の感情を重視して本件申請を却下したことは失当であり本件抗告は理由がある。

よつて、原決定を取り消し、本件氏の変更を許可することとして主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 丹生義孝 裁判官 入江啓七郎 裁判官 安部剛)

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